[不登校]受容・共感・傾聴はテクニックではなく結果

函館のずれることなく気持ちを聴く専門サロン【聴き手サロンあいりす】のブログにご訪問いただきありがとうございます。



前の記事では

心の充電率があまり高くない時
アドバイスではなく
心から寄り添ってくれる存在こそ
希望の灯りになる

と結びました。



この結び…

みなさまはどのように
受け止められたことでしょう。






「解決はどうするの?」





現場ではそんな声もよくありましたが
その後の経過をご覧になると
次第に無くなっていきます。




プロセス全体をこんな風に
鳥の目で眺めると
理解してもらえるけれど

プロセスのある地点だけを見れば
不安や焦りを感じるのは
当然だと思います。




だから
ただ聴くという、いとなみが
話し手さんに何をもたらし
その先にどんな物語を紡ぐのか

私の経験という限定的な範囲ですが
少し書いてみようと思いました。



多くの人にとって「聴く」ことの
治癒的な力とは最大の謎かもしれません。




私の未熟さから課題を残した事例と、
そこから修正の機会を頂いた事例と。

この2つの事例から何かしらの
ヒントが見つかれば幸いです。







以下は
これまで同様
*架空事例として読んでくださいね。


 *「架空事例」とは心理専門職の
  事例研究の際に用いられる方法です。
  実際にあった事例の属性を変え
  複数の事例を組み合わせて作ります。
  ⭐︎ 属性:性別、学年、学校種など

このようにして
話し手さんのプライバシーは
しっかりと守られていますので
ご安心ください。

(学校の事例ですが、一般生活にも似たような場面は少なくないので、対人援助や友人関係でも拾える部分があると思います。)





前者をAさん
後者をBさん
と呼んでいきますね。

お二人とも
お子さんが学校に行きにくく
なっているとのことで
来談されました。



Aさんはセッションの最初から
「何があっても、学校には絶対に行かなくてはならない」
と何回も仰っていました。

お子さんの様子を尋ねると
行こうとするとお腹や頭が痛くなるという
身体症状が出ている段階

身体症状の意味するところは
「限界を超えている」ということなので
すぐに休養が必要です。



お母さんの気持ちは分かるけど
このままだとお子さんの
心の充電率が更に減ってしまう

お子さんの事を考えるなら
お母さんの考え方を変えてもらうしか
ありません。




だから

今のお子さんの状況が
どのようなメカニズムから
起こっているかを説明し
家庭で奨励される関わり方と
それによりどんな変化が生じてくるかという
見通しを含めたアセスメントを共有しながら
やんわりと

「まずは休むことが大切」


というメッセージを発し続けました。


 


私は専門職という立場で
適切な見立てをして
適切なサポートを届けた
そう思っていました。



のはずが




次の予約日は急用でキャンセル
延期した日には下の子が熱を出す
そんな事が重なっていき
最終的には中断となったのです。





偶然起こったかのように見える
これらの出来事を心理の世界では
「抵抗」と呼びます。

抵抗にも様々なケースがあって
いついかなる時でも
聴く側だけが反省を求められる
というわけではありません。
(振り返りはきちんとします)

ただ、この場合は
このカウンセラーにはもう会いたくない
という明確なNo

一度だけなら偶然の可能性もあるけど
キャンセルが重なっていく中で
どうやら自分が何かやらかしたらしい
と気づきました。






やはり、お母さんの気持ちが聴きとられること…そちらが優先だったのではないか

最後の望みをかけてお母さんが辿り着いた場所で私がしたことは…






二度このような事があってはならないと
分かったつもりになっていた(この時期は本質的な所を全然分かってなかったのです)
来談者中心療法について勉強し直しました。
 






その後Bさんと出会います。 

語りから
お子さんには休みが必要と
懸命に理解しようとしているのが
伝わってきます。

だけどその語りに続く
接続詞が「でも」なのです。




「でも」というのは
頭で分かっているけれど心の深い所では
自分の本当の気持ちとずれている

そんな心模様の時に
無意識に出てしまう言葉

ご自身の気持ちを無理やりに
変えようとされている

それが痛いほどに
伝わってきてしまう。




私は解決をいったん心の封筒に
しまうことにしました。

捨てるとも違う

時が満ちるまで大切に、でも
目につかない所にそっと置いておく。





当然のことながらそのことにより
私は心理専門職としての知識を
自己封印する事態に陥ります。

(大きな声では言えないけれど)
 ニーズに合う専門知識を提示すれば
 話し手さんには比較的容易に
 信頼してもらうことができるので
 聴き手としては
 アドバイスという選択肢のある方が
 圧倒的に助かるのです。




困りました。

アドバイスのないセッション???
想像すらできません…




アドバイスを活用できないなら
もはや聴く以外に出来ることがなく

一語一句をもらさず聴きながら
特に"きもち"に注目し
ずれないで、ひたすら『ついていく』

悲しい気持ちも
腹立つ気持ちも
情けないと思う気持ちも、ぜんぶ
出てくるままに
聴きとる

何の計算も
何かを変えさせようとすることも無く

ただただ耳を傾け続ける。







そしてある時、

ああ、これが
学生のころ尊敬する先生が
講義で話されていた

"川面をながめながら、来談者の傍らに並んで腰をおろし、ただただ聴く"

という風景なのだと知ったのです。




相田みつをさんのこの詩


相談している人と聴いている人を交換すると
まさしくこの世界観になります。


つらかったし 苦しかった

(うん うん)

誰にもわかってもらえなくて
すごくつらかった

  (うん うん)

泣くにも泣けず
つらかった 苦しかった

     (うん うん)



その人の語るリズムに息を合わせて
どうすることも出来ない
つらさ、苦しさ
その痛みと共にいようとする

何もできないからこそ
その痛みを想像し共に味わい
聴いている方も痛みから逃げないで
ただただ傍らに居続ける

ここにはそんな時間が流れているのです。







ただ聴いているだけなのに
Bさんの考え方はセッションを重ねる度に
変わっていきます。

気持ちを出すことができて楽になり
楽になったら心に余裕ができ

心に余裕ができたら
お子さんとの関係性が変わり

Bさん自身に笑顔が増え
そうしたらお子さんにも笑顔が増え

お子さんを何とかしよう
と思わなくなっている自分に気づき

共に生活を楽しむようになっていく

お子さんを丸ごと認め
一個の人間として尊重し始める

ふと気がつくとお子さんと
率直なコミュニケーションをしている



ちょうどこんな時…



セッションの中でこのエピソードが
お母さんの語りの中に現れ出したなあ
と思っていると

とても不思議なんですが
まるで紐づいているかのように

「子どもが動き出しました!」と
お母さんから報告されることが
よくありました。





私はこの動き出しを「蛹からチョウへ」
と例えることが多いのですが

蛹の時に蓄積したパワーを解き放つかの如く
子ども達は力強く歩み始めます。


それは
集団を再び選択するということだったり
別の集団を選ぶことだったり
蛹の時期に出会った心躍ることを追求していくことだったり
望む進路の実現であったりと
お一人お一人違いますが

自分で道を決めるというプロセスを経ると

自分の芯棒がしっかりとして
少しの雨風では揺らがない
そんな強さを纏うように感じます。




この段階に至ると
セッションの終結も見え始めます。

これまでを振り返る流れが
ごく自然に生まれ
全ての方が自分の変化を語り
一連の体験に感謝されるのです。









ただ聴く先に何があるのか?
一つ確実に言えることがあるとすれば

そこには

◇ 無条件の肯定的関心
◇ 共感的理解

結果としてあります。






あまり知られていませんが

受容・共感・傾聴とは
それをすることによって
カウンセリングが上手いく"テクニック"
ではありません。






あくまでも
結果としてセッションの中に存在した
"態度"なのです。






受容・共感・傾聴すれば(原因)
クライエントの
自己実現傾向を引き出せる(結果)

という『因果関係』ではなく





どちらかと言えば

受容・共感・傾聴があるほどに
クライエントの自己実現傾向が引き出される可能性も高くなる

という
伴って変化する関係性(共変関係)
に近いものです。




でも、これを分かりやすく言うと

 クライエントの自己実現傾向が引き出されたセッションには、振り返ればいつもそこに受容・共感・傾聴(専門的にはパーソナリティ変容のための6条件)が存在していた。

となるために

専門家の間では
伴って変化するという関係性
に近いものとして認識されていた知識が

細かい所が削ぎ落とされ
分かりやすいエッセンスの部分が
強調されて伝わっていく中で

原因と結果の関係性だと誤解されて
広がっていったのかもしれません。








受容・共感・傾聴は
テクニックではなく結果




私が出会ったカウンセリングの行間で
最も感動を覚えた気づきです。




〈傾聴とカウンセリング〉心のサロンあいりす-函館

心のやすらぎと変容に出会う あなたの気持ちがずれることなく聴きとられる"聴き手"サロン

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